データで斬る!世代別エンタメ比較

統計データにみる世代別オンラインコミュニティ・SNSを通じたエンタメ接触の実態

Tags: オンラインコミュニティ, SNS, 世代間比較, エンタメ, 統計分析

導入

デジタル化の進展に伴い、エンタテインメントの消費形態は多様化しており、特にオンラインコミュニティやSNSといったプラットフォーム上でのエンタメ接触が重要な位置を占めるようになりました。これらのプラットフォームは単なる情報収集の場にとどまらず、コンテンツの共同消費、ユーザー間の交流、創作活動、ファンコミュニティ形成など、多岐にわたるエンタメ関連行動の拠点となっています。一方で、これらのオンライン空間におけるエンタメへの接触状況は、世代によって異なる傾向を示すことが指摘されています。本稿では、統計データに基づき、世代別のオンラインコミュニティおよびSNSを通じたエンタメ接触の実態を分析し、世代間における利用行動や傾向の違いについて考察することを目的とします。

この分析にあたっては、〇〇研究所が実施した「2023年度デジタルエンタメ利用実態調査」のデータを使用します。本調査は、全国の15歳から79歳までのインターネット利用者〇〇名を対象に、ウェブアンケート形式で実施されました。調査対象者の世代構成は、10代、20代、30代、40代、50代、60代、70代以上として区分されています。本稿では、特にオンラインコミュニティやSNS上でのエンタメ関連行動に焦点を当てて分析を進めます。

世代別のオンラインコミュニティ・SNS利用時間

まず、オンラインコミュニティやSNS上でのエンタメを目的とした週あたりの利用時間について、世代別の傾向を確認します。

図1は、世代別の週あたりのオンラインコミュニティ・SNS利用時間(エンタメ関連)を示しています。この図から、若年層ほど利用時間が長い傾向が明確に読み取れます。具体的には、10代、20代といった層では週あたり平均〇〇時間以上がエンタメ関連の利用に費やされているのに対し、50代以上の層では利用時間が顕著に短縮し、週あたり平均〇〇時間以下となっています。これは、デジタルネイティブ世代である若年層が、日常的にオンラインプラットフォーム上で多様なコンテンツを探求し、交流する傾向が強いことを示唆しています。一方、高年層における利用時間の短さは、オンライン空間でのエンタメへの接触機会や関心の度合いが異なることを反映していると考えられます。

(図1:世代別週あたりオンラインコミュニティ・SNSエンタメ関連利用時間 - 2023年度)

このデータは、オンライン空間がエンタメ消費の主要な場となっている度合いが、世代によって大きく異なる現状を浮き彫りにしています。

世代別の利用目的と行動様式

次に、オンラインコミュニティやSNSをエンタメ目的で利用する際の、具体的な行動様式や目的の違いについて分析します。

図2は、世代別の主な利用目的(複数回答)の割合を示しています。若年層(10代、20代)では、「他のユーザーとの交流」「ファンコミュニティでの活動」「コンテンツに関する情報収集」「動画やイラストなどのコンテンツ閲覧・共有」といった項目が高い割合を占めています。特に「他のユーザーとの交流」や「ファンコミュニティでの活動」といった、能動的・参加型の目的の割合が高いことが特徴です。

一方、30代、40代といった中間世代では、「情報収集」の割合は引き続き高いものの、「交流」や「ファン活動」の割合は若年層に比べて低下し、「動画やイラストなどのコンテンツ閲覧・共有」の割合が比較的高くなっています。これは、時間的な制約の中で、コンテンツの受動的な消費や効率的な情報収集に重点を置く傾向を示唆している可能性があります。

さらに、50代以上の高年層では、「情報収集」が最も高い割合を占めており、「交流」「ファン活動」といった項目は相対的に低くなっています。この層は、特定のコミュニティへの積極的な参加よりも、興味のある情報の検索や閲覧が中心となっている様子がうかがえます。

(図2:世代別オンラインコミュニティ・SNSエンタメ関連の主な利用目的 - 2023年度)

これらのデータから、オンラインコミュニティやSNSを通じたエンタメ接触は、世代によって量的な違いだけでなく、質的な違い、すなわち利用目的や行動様式においても顕著な差異が見られることが分かります。若年層は「つながり」や「参加」を重視する傾向があるのに対し、高年層は「情報取得」や「受動的な閲覧」が中心となる傾向があると言えます。

経年変化の傾向

〇〇研究所の過去の調査データと比較することで、これらの傾向がどのように変化しているかも確認できます。図3は、過去〇年間における各世代のオンラインコミュニティ・SNSエンタメ関連利用時間の推移を示しています。

(図3:世代別オンラインコミュニティ・SNSエンタメ関連利用時間の経年推移 - 過去〇年間)

この図からは、全体的に利用時間が増加傾向にあることが確認できますが、特に注目すべきは、中高年層においても利用時間が増加している点です。これは、スマートフォンやタブレットの普及、およびオンラインサービスへのアクセシビリティ向上により、以前はオンライン空間でのエンタメにあまり接触していなかった層も利用を開始・増加させていることを示唆しています。ただし、若年層との絶対的な利用時間の差は依然として大きく、この差は簡単には縮まらない現状が見て取れます。

結論と示唆

本稿では、統計データに基づき、世代別のオンラインコミュニティ・SNSを通じたエンタメ接触の実態を分析しました。その結果、以下の点が明らかになりました。

これらの分析結果は、社会調査研究において、デジタル空間におけるエンタメ消費行動を世代横断的に理解する上で重要な基礎情報となります。オンライン空間でのエンタメは、単なるコンテンツ消費だけでなく、コミュニケーションやコミュニティ形成と密接に結びついており、その様相は世代によって大きく異なります。今後の研究では、これらの世代間格差が個人の価値観や社会構造にどのように影響を与えているのか、さらに詳細な分析が求められるでしょう。

本稿で提示したデータや分析が、読者の皆様の研究の一助となれば幸いです。